2011年6月15日水曜日

◆中国広州空港のホテルでも英語に助けられました

2000年のとき初めて中国に行きました。
中国広東省の東莞市に工場があり、出張で3日ほど滞在しただけですが。

当時の中国は現在のように開けた感じではなく、少し暗くて怖い共産圏と
いうイメージがありました。

何かあると日本人はターゲットにされるような。
実際はそのイメージとはずいぶんと違ったのですが。

まあその話はおいといて、突然ですが、出張でのやるべきことが順調に
終わり、帰国することになりました。

行きは成田空港から広州空港に行き、そこで社用車に迎えに来てもらって
いました。

それで帰りもまた空港まで送ってもらうつもりだったのですが、一人の
ドライバーは体調悪くて休みで、もう一人はお客さんを香港へ送るため
に出たあとでした。

そのため良く使っている車があるとのことで予約してもらいました。
しかし実はタクシーではなく白タクでした。

あとでわかったことですが、中国の中では白タクはあたり前のようです。
法律で禁じられてはいるのかも知れませんが、日本のように厳しく
取り締まったりもしていないので、野放し状態のようです。

またホテルやレストラン、日本人料理店などもみな送迎車をもって
います。お客さんの依頼があれば、どこへでも送ってくれます。

社用車がないのでどこかの知っているところに、広州白雲空港までの
送迎を依頼したようでした。

何も知らないわたしとしては、タクシーなら少しは安心するのですが、
白タクでは安心することはできません。

ドライバーはどこの馬の骨ともまったくわからない人で、突然どこかの
小路に車を乗り入れられ、周りを大勢の仲間に囲まれたらアウトです。

結構緊張しながらへんな小路に入り込まないか・・などと気にしながら、
走り続けました。

・・・このまま途中のことを書くと長くなり、本題から逸れるので
また別の機会に投稿したいと思います。

ということで、20時30分頃、何もなく空港に着いたのでほっと一安心。

周辺がすごく渋滞していたのでホテルの少し前で”謝謝!”
と言ってから降りて、ホテルに向かって歩いていきました。

そしてホテルに入ってフロントデスクに行き、
「チェックイン、プリーズ」と言いました。

相手はきょとんとした面もちでこちらの顔を見るのですが、
何も反応しません。
「何でしょうか?」という顔をしているだけです。

英語がわからないのならということで、ホテルを予約してくれた人に
書いてもらった紙を見せると、すぐに予約をチェック始めたようです。

よしよし・・と見ていると、今度は確認が終わって顔を上げ、何かを
しきりに話してきます。何がなんだかわかりません。

仕方ないので紙の上に会社名と自分の名前、予約済、宿泊するなどと
書いて説明すると、またしきりに少し強い調子で返答してきます。
どうも予約がないと言っているような感じです。

異国の地で泊まる場所もなく放り出されることになるかと思うと、
冷や汗がタラリ・・という気持ちになり、すごくあせった状態になり
ました。

とにかく会話ができないと始まらないので、目の前にいる数人の
スタッフに
「あなたは英語が話せますか?」
と聞いても誰からも反応が無し。

「わたしは○○会社の△△です。部屋を予約してあります。」
などと言ってもやはり何も行動が起こりません。

そうこうしているうちに、その中の1名でどこかに電話をかけ、
何かを説明しはじめました。

その会話の意味は当然わからないので、何度も何度も
「困った」「お願いします」調の話をし続けていると、一人黒服の
スタッフが横のドアから入ってきました。

そして、「どうされましたか?」と英語で言ったので、瞬間
「良かった!話ができる!」と思い安堵がこみ上げてきました。

ですがまだ終わりではありません。

再度、会社名や名前、予約済のことを説明すると、すぐに
「申し訳有りませんが、そういう予約はありません。」とのこと。

何度も確認してもらっても「予約はありません。」の返答だけでした。

これは大変なことになったなと思いながら、あせる気持ちを落ち着か
せるためにゆっくりと深呼吸をしました。

というのも、会社に電話して確認してもらったり再予約してもらおうと
しても、携帯電話はないし一般電話の掛け方もわかりません。

とにかく心を落ち着けて頼みの綱である英語を話せるそのスタッフに、
「何とかして下さい。」「どこでも良いので泊めてください。」
「どうしても部屋がないのなら、このロビーに寝ていても良いですか?」
などと、必死に再交渉です。

どこかに泊めてくれないのなら、絶対に帰らない・・と必死で伝えた
せいか、下手な英語でも相手はわかってくれたようで、電話をどこかへ
掛けて交渉を始めました。

2~3分押し問答をしたあとでようやく話がついたようで、その人が
親指を上に立てて「OK」のサインです。

「あー本当に良かった・・・。」とぐっと気持ちがこみ上げてきて、
思わずその人に握手の手を伸ばしていたのを覚えています。

エレベーターで上に移動し6階で降りて部屋に入りました。
本当に狭い小さなシングルベッドとテレビがある部屋でしたが、
そのときのわたしにとっては、暖かくて安心のできる本当にノアの
箱船に助けられて乗ったような気分でした。

やはり海外で一人になる可能性があるのなら、絶対にカタコトでも
英語が話せる必要がありますね!