2012年10月8日月曜日

◆文脈から類推できることは省いて話す

今日も無駄な部分を省いてシンプルに話す、という例をご紹介します。

■例1:見に下りて行く
2階の窓から下を見おろしている人がいて、庭にいる人に向かって、
「そこに犬をつないでおいてください。すぐに下に見に行きますから」
と言ったとします。

この文を直訳すると、次のようになります。
Leave your dog there, I'll be right down to see him.

しかしここでは、「見る」に当たる to see him は英語的に言うと省いても
良いフレーズになります。

犬を見るため下に下りていくのだということは、前半の部分に犬が出て
いるので、当然わかっていることだからです。

このフレーズは、余計な繰り返しになっています。
次の通りの文でOKなのです。
Leave your dog there, I'll be right down.


■例2:コーヒーの好み
次のような場合にも、英語は省かれて使われます。

お客さんにコーヒーを出すようなとき、日本では 「ミルクと砂糖はどう
しますか」と聞くのは普通です。

これを直訳すると、次のようになります。
Would you like cream and sugar in your coffee?

しかし、英語では次のように言う場合が多いです。
How do you like your coffee?

ミルクはどうか、砂糖はどうかなどと好みを強制はしません。
相手の意向を尊重して、いちいち細かく聞かなくて良いのです。

このような例からもわかるように、前後の関係から省略しても意味が通じ
るような場合には、思い切って省略しても良いのです。


■例3:スピーチの挨拶
日本人が会合などでスピーチをするときは、まずは司会の人がスピーチす
る人を紹介します。

そしてスピーチする人が紹介を受けたあとで、まずは
「ただいまを紹介にあずかりました○○でございます」
という決まり文句を言ってから、スピーチを始めます。

I am ~ who has had the honor of being introduced to you by the -.

しかしここでもダブった内容となっているのですね。
それは、スピーチをする人の名前です。

司会の人も名前を紹介し、そして本人も再び名前を言ってから話している
からです。

英語ではこのような場合、司会がスピーチする人の名前を出席者に告げた
のですから、それを受けて挨拶に立った人間は、改めて自分の名前を言う
ことはありません。

2回も同じ事を繰返して言う必要はないという発想です。
こういう場合、英語では次のような決まり文句を言うことが多いです。

Thank you, ~, for your kind introduction.

~には紹介してくれた人の名前を入れ、紹介してくれた人に対して、お礼
の言葉を言うのです。

とてもシンプルな言い方ですよね!

英語的発想の方が日本語的な発想よりも、より無駄が少なく合理的である
と言えますね。